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第29回東京国際女子マラソンは、2007年11月18日に東京都内で開催されました。この大会は、北京オリンピックの代表選考を兼ねており、
多くの注目を集めた重要なレースでした。東京国際女子マラソンは1979年に世界で初めて国際陸上競技連盟(IAAF)によって公認された
女性限定のマラソン大会として始まり、2007年で29回目を迎えました。この大会は、長年にわたり、国内外のトップランナーが競い合う
舞台となっており、厳しいコースと過酷な気象条件で知られています。
この年の大会は、特にアテネオリンピック金メダリストである野口みずき選手に焦点が当てられていました。野口選手は、2004年に
行われたアテネオリンピックで女子マラソンの金メダルを獲得した実力者であり、北京オリンピックでも優勝が期待されていました。
また、前日本記録保持者の渋井陽子選手も注目されており、彼女の走りに多くのファンが期待を寄せていました。
レースは午前中の穏やかな天候の中でスタートしましたが、13時の気温は18.8度まで上昇し、最高気温は19.4度を記録しました。
湿度は31%、南からの風は4.4m/sと、ランナーにとってはやや厳しい条件が整っていました。大会のコースは、国立競技場をスタートし、
大森海岸交番前を折り返して再び国立競技場に戻る42.195キロメートルのルートです。このコースの最大の特徴は、35キロメートル地点に
ある「四谷への急こう配」として知られる難所です。このセクションは高低差30メートルにも及ぶ急な上り坂で、多くのランナーが
ペースを乱される厳しいポイントとして知られています。
レース序盤から、渋井陽子選手と野口みずき選手の二人が先頭を引っ張り、折り返し地点まで渋井選手がトップを走る展開となりました。
渋井選手は力強い走りで先頭集団をリードしましたが、29キロ付近から次第にペースが落ち始め、野口選手に追い抜かれました。一方、
野口選手は序盤こそ控えめなペースで進めていましたが、後半にかけて徐々にペースを上げ、終盤では圧倒的な強さを見せつけました。
最終的に、野口選手は2時間21分37秒のタイムでゴールし、見事に優勝を飾りました。このタイムは、厳しい気象条件やコースの難易度を
考慮しても非常に優れた成績であり、北京オリンピックの代表としての道を切り拓く勝利となりました。
一方で、渋井選手は前半のリードを維持することができず、29キロ付近から後退し、最終的には7位でフィニッシュしました。この結果は、
彼女にとっては悔しいものであったかもしれませんが、渋井選手の走りは今大会でも多くの人々に感銘を与えました。
さらに、大阪世界選手権で銅メダルを獲得した土佐礼子選手もこの大会で北京五輪の出場枠を確保しました。土佐選手は、冷静な
レース展開で確実に順位を上げ、無事に内定を得ることに成功しました。これにより、北京オリンピックへの出場枠は残り2枠となり、
今後の大会での激しい競争が予想されました。
第29回東京国際女子マラソンは、単なるマラソン大会以上の意味を持つレースでした。選手たちは、四谷の急こう配をはじめとする
コースの難関を乗り越え、過酷な条件下でのパフォーマンスを見せました。特に野口みずき選手の勝利は、北京オリンピックに向けての
確固たるステップとなり、日本の女子マラソン界における新たな歴史の一ページを飾る瞬間となりました。この大会は、ランナーに
とっての挑戦と栄光の場であり、その熱い戦いは観客やファンに深い感動を与えました。
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