天王祭(素盞雄神社)   左側の写真を、クリックして下さい。 



天王祭は夏に行われる祭りであり、人々の行き来が盛んな街道で疫病が流行する時期に、神輿振りという激しい行為によって、神の力を借りて疫病を鎮め、悪疫の除去、災いの回避、そして地域の繁栄を願う祭礼です。春と秋には農村で稲の収穫を祈念する祭りが行われますが、天王祭は都市型の祭りとして、京都の祇園祭と同様に位置づけられています。 天王祭では、宵宮祭と例大祭という二つの主要な祭りが行われます。宵宮祭では、61ヶ町の代表者や信仰者が参列し、厳かな祭儀が執り行われます。この祭りを境に、61ヶ町が壮大で華やかな祭りの雰囲気に包まれます。 また、天王祭では胡瓜(きゅうり)が特別な役割を果たします。参列者は半紙で包んだ胡瓜を奉納します。これは胡瓜を輪切りにした断面が神の紋章に似ているため、恐れ多いと考えられているためです。参列者はまず胡瓜を神前に供え、その後に自分たちで食べるという伝統があります。奉納された胡瓜は天王太鼓会の手によって漬物にされ、祭りの終了後に参拝者にお土産として配られます。 さらに、天王祭では二天神輿振りと呼ばれる特別な行事が行われます。通常、神輿は4本や6本の担ぎ棒を使って井桁に組んで担ぎますが、天王祭では2本の担ぎ棒のみを使用します。神輿を左右に激しく振ることで、屋根の鳳凰が地面に触れるほどの大きな振りを行います。この神輿振りは荒々しく、しかし勇壮で荘厳な光景を見せます。 天王祭は3年に一度の御神幸祭としても知られています。この御神幸祭では、 重さ千貫(3.75トン)もある大神輿が二天棒を使って担がれます。さらに、中神輿や小神輿(子供神輿)といった3基の御本社神輿も同行し、南千住、三之輪、三河島、町屋の61ヶ町にわたる氏子区域を渡御します。 この御神幸祭を通称して「本まつり」と呼びます。本まつりは天王祭の中でも特に重要であり、祭りのハイライトとなる行事です。しかし、本まつり以外の年においても「氏子まつり」として祭りが行われます。本まつりや氏子まつりを問わず、毎年100基を超える町神輿が各町内を巡行し、祭りの華やかさと賑わいを演出します。 天王祭は夏の疫病を鎮める祭りでありながら、その壮大な祭りの様子や神輿振りの迫力は見る者を圧倒します。伝統や信仰が息づき、祭りを通じて地域の結束や繁栄を祈る姿勢が感じられます。天王祭は地元の人々だけでなく、多くの観光客や訪れる人々にとっても魅力的な祭りの一つとなっています。



2008年6月7日



前のページへ

     

ホームへ

     

次のページへ




写真販売